飲食店において、従業員の休憩時間の扱いが問題になります。そこで今回は、休憩時間の法律的な扱いについて解説します。
1日の労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間以上の 休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。
休憩は必ず取らせなければならないので、労働者から「休憩時間なんて時間の無駄です。休憩時間などいりません」と言われても、使用者は必ず休憩時間を与えなけれ ばなりません。
また、休憩時間は「労働時間の途中」でなければなりません。8時間ぶっ通しで働いて、休憩時間分遅く出勤する扱いや、早く帰宅する扱いも許されません。
さらに、休憩時間は、労働者が労働から解放され、自由に使える時間でなければなりません。たとえ休憩時間と呼ばれていても、来客や電話の応対をしなければなら ない場合は休憩時間ではありません。
このような時間は「手待時間(てまちじかん)」 といわれ、労働時間に含まれます。したがって「休みに入っていいよ。でも電話の近くにいて、お店に電話がかかってきたら応対してね」と指示してしまうと、休憩時間ではなくなります。
休憩時間中の外出を許可制とすることは許されるでしょうか。休憩時間といえども、始業から終業までの拘束時間中であることは変わらないので、合理的な範囲内での拘束も許されます。
行政解釈でも「休憩時間の利用につ いて事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的をそこなわない限り差し支えない」(昭22・9・13基発17号)とされ、「(休憩中の外出について所属長の許可を必要とすることについて) 事業所内で自由に休憩し得る場合には必ずしも違法にはならない」(昭23・10・30基発1575号)とされています。
したがって、事業所内に十分な休憩設備やスペースがあるならば、休憩場所を店 舗の敷地内に限定することも許されますし、外出に際してユニフォームから私服に着 替えるなどの条件を付けることも許されます。
しかし、事業場の規律保持の必要性を 超えた厳しい拘束を課すと休憩時間といえなくなってしまうので、注意してください。
休憩時間は一斉に与えることが原則です。しかし、飲食業など接客娯楽業や運輸交通業では業務の性質上一斉休憩が困難なので、交代で休憩することが認められています。
では、休憩時間を分割して与えることは可能でしょうか。労働基準法は労働時間の途中で与えることを要求していますが、一括継続して与えることまで要求していません。
ですから、8時間以上の労働が予定されている日に、昼食休憩を40分程度与え、それ以外に、10分前後の短い休み時間を付与することも可能です。
休憩時間を分 割して与えることで勤務と休憩のメリハリをつければ、業務に対する集中力も高まりますし、そうした工夫がだらだら残業の防止にもつながります。