飲食店のサービス料って法律的にOK?その注意点を弁護士が解説 

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飲食店の法律問題

飲食店のサービス料やお通し代とは

飲食店によっては、飲食代にサービス料を加算して支払いを求める店舗もあります。サービス料は、比較的高級な飲食店において、慣習によって請求しているケースが多いです。

目安としては、飲食代金の10~15%程度の金額に設定されていることが多くなっているようです。

また、サービス料と似たようなものに、お通しというものもあります。これは、居酒屋などでよく行われているもので、注文を受ける前に、とりあえずの酒の肴として、300円程度で簡単な料理を提供することをいいます。

これらに共通するのは、飲食店側と消費者側との間に明確な契約がないのにもかかわらず、料金を請求するシステムになっているという点です。

飲食店がこうしたサービス料やお通し代を消費者に請求することに、問題はないのでしょうか。

サービス料やお通し代の法律

実際のところ、サービス料やお通し代について明確に定めている法律はありません。

ただし、商法においては、「この法律に定めがない事項については商習慣に従い、商習慣がないときは、民法の定めるところによる」と規定されています。

つまり、商事上の習慣として、古くから行われていること(慣行)であれば、飲食店は、サービス料やお通し代を消費者に請求することが可能であるということになります。この点、サービス料やお通し代の請求は、一般的な飲食店において慣行として行われているとまでは言い難いでしょう。

日本では、サービス料を請求しない店舗の方が圧倒的に多いようですし、お通しも店舗によっては存在しなかったり、拒否できる場合もあるからです。

合意が必要だが黙示の承諾というケースもある

商習慣が認められていない場合であっても、飲食店側と消費者側との間で合意がある場合には、サービス料などを請求することが認められます。

合意があれば、サービス料などを含めた契約が成立しているといえるからです。

飲食店側と消費者側で合意があったといえるためには、飲食店側がサービス料などについての説明をあらかじめしておく必要があります。

また、飲食店側がサービス料などについての説明をあらかじめしていなかった場合であっても、特に消費者側が異議を唱えなかった場合には、支払いを求めてもかまいません。このことを黙示の承諾といいます。

ただし、異議を唱えなかったからといって消費者が心から納得して支払いをしているとは言い切れません。やはり、飲食店側と消費者側との間で合意しておく方が望ましいでしょう。

飲食店のトラブルを防止するための対策とは

よく、レシートにサービス料やお通し代などの明細を表示している飲食店がありますが、これだけではトラブル防止の対策としては不十分です。

レシートは、サービスの提供が終わり、飲食代金を支払うときになって交付されるものであるため、その内容を前もって消費者側に知らせるものではないからです。

飲食店側としては、あらかじめ サービス料やお通し代についての説明をしておくように十分配慮する必要があります。

たとえば、サービス料やお通し代については、予約を受け付けるときに口頭で説明したり、メニュー表の目立つところに説明書きを記載しておくようにするとよいでしょう。

いずれにせよ、サービス内容や料金をできるだけ明確に示すことを心がけることで、飲食店は消費者から深い信頼を勝ち取ることができます。

逆に、不透明な部分が多いほど、不信感を抱かせることにつながりますので、消費者が気持ちよく料金の支払いができるよう、工夫することが大切です。


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