弊所では、飲食店からの相談を多く受けていますが、その中で、多いのが、従業員とのトラブルです。
飲食の仕事は、きついことも多く、飲食店側と従業員側で、対立することも多いです。
そして、従業員が自分の身を守ろうとした時、その手段や場所というのは意外に多くあります。
しかし、逆に飲食店側を守ってくれる法律は、意外と少なく、自分自身で守るしかありません。
そしてその第一歩が、会社のルールとなる就業規則なのです!
常時10人以上雇用する会社は、就業規則の作成及び労基署への届出が義務付けられています。
しっかり吟味して作りましたか?
ネットにある雛形を、そのまま流用していませんか?
常時10人以下の会社は、作成義務がないからって、うちには関係ないって思ってませんか?
今、何もなくても、後から大きなしわ寄せがやってきますよ!
会社を守り、しわ寄せが来ないためのポイントを検討していきます。
その就業規則、会社の実情に合致していますか?上記にも述べたとおり、就業規則は会社のルールです。
しかも、飲食店側が、ある程度、自分の裁量で作成できるため、飲食店側の武器になるものです。
しかし、IT、商社、製造・・・とさまざまな業種があり、会社の規模、雇用形態の違いなど、一つとして同じものはない中で、ネットに上がっているテンプレの就業規則をそのまま流用するということは、各会社ごとにある実情が反映されていないことになります。
例えば、
・退職金の規定は設けていないと思ってたのに、テンプレには支給する旨の記載されていた。
・賞与は入社3年目から支給すると口頭で伝えていたのに、そもそも賞与の規定が乗ってなかった。
こういったトラブルは、後に大きな労使トラブルに発展しかねません。
「就業規則は、あればいい!」ではすまないのです!
会社のルール=会社の法律、と言っても過言ではありません。言葉一つで大きく意味合いが変わってしまうこともあります。
例えば、
・賞与の範囲は、「正社員」のみであったのに、就業規則には「従業員」と記載していた。
この場合、読み方によっては、正社員以外(パート・アルバイト)も従業員であることに変わりはないので、賞与の対象となってしまう可能性があります。
また、あまたのテンプレから、いいところだけを組み合わせて作った場合などでは、一見自社に合ったものができたと思いがちですが、実は前の項目と後の項目とで矛盾が生じている場合があります。
この項目では、「従業員」と大きな括りの表現だったのに、あの項目では「正社員」と限定していたりすると、後からトラブルになりかねません。
労働関係の法律は度々改正されます。近年だと、割増賃金の計算方法が変更となった平成22年の労働基準法の改正や、平成27年の労働者派遣法の改正などがあります。
これらの改正に関係する部分について、適応しているでしょうか?
就業規則が、法律の規定以下の場合は、その就業規則は無効となり、法律の基準まで引き上げられます。
因みに、優先順位は、
法律>労働協約>就業規則>雇用契約
となり、取り決めの内容がそれぞれ上位の規定以下の場合は、その取り決めは無効となり、上位規定まで引き上げらという考えです。
法改正が適正に反映されていなかった場合、労働基準監督署から行政処分もありえるのです。
特に、賞与・退職金・休職の規定などのお金に関係してくるような部分については、注意して作成する必要があるでしょう。
知識としては「当たり前!」であったとしても、それがしっかり反映されているのか、また、従業員皆が理解しているのかが重要になります。
自社の「就業規則」、もう一度見直す必要があるかもしれません。