飲食店が従業員の採用時に気を付けるべきポイント

>

飲食店の法律問題

採用時の提出書類

採用が決定した従業員に対しては、すぐに入社日や出社時間、出社場所などを通知します。同時に、住民票記載事項証明書や扶養控除申告書などを提出してもらいます。

住民票記載事項証明書は、住民票に記載された事項の一部を証明するもので個人情報も保護できます。なお、従業員のマイナンバー情報取得のため、個人番号カードや通知カードの提出も求められます。

転職者の場合は、入社日に年金手帳や雇用保険被保険者証、前の会社などの源泉徴収票を持参するようにお願いしておきましょう。

また、採用時には、店のルールに則って業務に従事することを約束する「誓約書」と、不正があったときなどには損害賠償などの保証人となることを明記した「身元保証書」などを提出してもらうことが重要となります。

誓約書

誓約書は、就業規則やその他の規則を守って業務に専念することを約束する文書で、組織の一員として一生懸命に働くことを誓わせるねらいがあります。

特に飲食業の場合は店舗での勤務に抵抗を覚える従業員がみられるため、就業場所や異動に関する条項を加えておくとトラブル防止となります。

誓約書には、大きな法的拘束力はないものの、署名、押印を要求するため、従業員は精神的な拘束を受け、組織の一員としての自覚を促すことにつながります。

身元保証書

「身元保証書」は、従業員の保証人と会社の間で交わされる契約書です。会社に対し、その相手が従業員として適性があると推薦すると同時に、会社に損害を与えた場合には金銭的にも保証していくことを約束することです。

従業員が独断で親族の名前を記入する場合があるため、身元保証人に対して礼状を送る方法をとると効果的でしょう。

身元保証書には有効期間があり、更新をしないと以後は無効になります。期間は定めを設ける場合は上限5年、設けない場合は3年間です。

賃金についての条件は必ず書面で明示

労働契約は労働者が使用者に労務の提供をすることを約し、使用者がその対価として賃金を支払う契約です。極端な話、合意だけで契約は成立するものの、合意があればどんな内容の労働契約を結んでもよいことではありません。

労働契約はさまざまな法令の制約を受けます。その中で主な基準となるのは労働基準法、労働組合法による労働協約、就業規則です。これらに違反しない範囲で労働契約は有効になります。

労働基準法では労働者を保護するため、合意内容のうち労働基準法で定める最低基準に満たないものを無効とし、同法に規定された内容がそのまま契約の内容になるとしています。

また、さらに労働基準法は、労働者を雇い入れる際に、賃金、労働時間などの重要な労働条件を明確に説明することを義務付けています(労働基 準法15条1項)。

明示は口頭でも許されますが、そのうち「労働期間、業務内容、就業場所、就業時間、休日、賃金の決定、計算、支払いの方法、締切、支払いの時期」などの一定事項については、書面を交付して明示しなければなりません。

また、パートタイム労働者を雇用する場合には、前述の事項に加え、①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無について、文書あるいは電子メールなどで明示することが必要になります。


問い合わせ