パワーハラスメント(パワハラ)とは、職務上の地位や職権を利用して嫌がらせをすることをいいます。
具体的には、不合理な命令、過剰な指導、被害者の人格を無視した行為などを指します。
不合理な命令とは、たとえば、仕事の内容をその部下だけに伝えなかったり、わざと仕事を与えなかったり、他の人が参加する打ち合わせに参加させない、といった行為のことです。
また、実現することが不可能なノルマを課したり、そのスタッフの担当する業務とは無関係な仕事をさせるような場合は、過剰な指導にあたります。
人格を無視した行為とは、その労働者を無視したり、謗中傷するといった行為の他、その労働者を孤立させるような行動も該当します。
パワハラが原因で労災申請が認められることもあるため、労務管理上において配慮する必要があるのです。
なお、厚生労働省の報告でも、職場のパワーハラスメントについて、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」と定義しています。
パワハラを防止するには、さまざまな角度から複数の対策を講じる必要があります。具体的には次のような事柄が挙げられます。
パワハラが、仕事を教育・指導する中で行われるケースがあります。
遂行不可能な仕事であってもスタッフ(部下)の成長のために必要だと考えて店長(上司)が多くの量の仕事を与えている可能性があります。
また、能力や経験とかけ離れた内容の業務命令であっても、仕事の基本を覚えさせるという意図があってあえてその仕事を与えているのかもしれません。仕事の教育・指導なのか、それともパワハラになるのかは線引きが難しいといえます。
一応、仕事上で必要な教育・指導の範囲内でなされる行為であればパワハラにはならず、「嫌がらせ」であればパワハラになるという基準を用いることができます。しかし、実際には、ケース・バイ・ケースで判断していくことが必要になります。
実際にパワハラと疑われる行為があった場合、被害者と加害者の双方から事情を聴取して事実関係を見極めることが重要です。
従業員が業務の中で第三者に損害を与えた場合には、従業員が所属している使用者も、使用者責任として損害賠償責任を負います。
したがって店長やスタッフがパワハラを行った場合、その加害者だけではなく店にも使用者責任があるとして、被害者に対して損害賠償責任を 負うことになります。
また、店が被害者と労働契約を締結していた場合、労働契約から付随して生じる義務である「働きやすい職場環境づくり」を怠ったとして、債務不履行責任に基づく損害賠償責任も負うことになります。
また、2020年6月からは、パワハラ防止法が施行され、企業はパワハラ防止対策の徹底が求められています。
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