飲食店の資金調達手段としての「助成金」について、飲食店専門弁護士が解説

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飲食店でも、すぐに使える資金調達手段が、助成金

会社運営をしていくうえで「資金調達」の問題は、どの会社も一度は直面する問題のひとつではないでしょうか。
ひとえに資金調達と言えど、数多くの手段が存在しますが、今回は、特に飲食店に活用して頂きたい制度をご紹介します。

それが、助成金です。

助成金って、何?

助成金とは、国や地方自治体から支給される会社が支払う労働保険料が原資の支援金のことです。
原則的に返済不要なものになります。また、助成金の種類によっては、使用用途も問われませんので、内部留保、設備投資、社員への還元など、使い道は自由です。

なお、雇用関係の助成金、給付金は、税法上は、消費税上の不課税売上となります。

助成金は、数百から数千種類あると言われていますが、今回は、特に受給金額が多く、飲食店としても取組しやすい(大幅な改善等が必要ない)おススメの助成金についてご紹介したいと思います。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

有期雇用期間半年以上の社員を正社員に転換することで、支給される助成金です。
有期契約から正社員に転換した場合に、一人につき57万円が支給されます。

1事業所につき15人まで申請できますので、最大で855万円受給することができます。

「人員を増やしたい」「コンスタントに人を雇っている」といった企業におススメの助成金になります。

職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)

雇⽤管理制度の導入などを通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対して助成するものです。
事業主が、新たに以下の雇⽤管理制度の導入・実施を⾏った場合制度導⼊助成(1制度につき10万円)を、
その後離職率の低下が図られた場合に目標達成助成(57万円)が支給されます。

①評価・処遇制度・・・評価・処遇制度等の新たな制度の導⼊
②研修制度・・・新たな教育訓練制度、研修制度の導⼊
③健康づくり制度・・・法定の健康診断以外の健康づくりに資する新たな制度の導⼊
④メンター制度・・・新たなメンター制度の導⼊
⑤短時間正社員制度(保育事業主のみ)・・・新たな短時間正社員制度の導⼊

保育事業者以外は、最大97万円を受給することができます。
制度は1つからでも始められ、適用は1人からでも可能です。
負担が少なく導入できるものもあり、比較的取り組みやすい助成金です。

人材開発支援助成金(キャリア形成支援制度導入コース)

人材育成に取り組むために、下記の人材育成制度を新たに導入し、その制度に基づき被保険者に実施した場合に、それぞれ47.5万円を助成する制度です。

①セルフ・キャリアドック制度(外部キャリアコンサルタントとの面談)
②教育訓練休暇等制度(外部講習等の受講)

最大95万円を受給することができます。
会社としては、制度を導入し、面談や受講の際に費用負担と有給休暇を与えるだけで良いので、手続き上の手間も少なく、取り組みやすい助成金です。

どうやったら、助成金を受給できるのか

では、こんなお得な助成金ですが、どのようにしたら、受給できるのでしょうか。

まず、大前提として、以下の条件が満たされていることが必要です。
これらの条件が満たされていない場合には、満たされるまで申請はできません。

①社員がいること
②法定三帳簿&雇用契約書があること
③就業規則があること(10人以下の場合は、届出の必要なし)
④労働保険料の滞納がないこと
⑤雇用保険&社会保険の適用者に、適正な加入手続きがされていること
⑥過去6か月以内に会社都合での解雇がされていないこと
⑦過去3年間において、助成金の不正受給がないこと
⑧過去1年間に、労働関係法令違反により送検処分を受けていないこと

飲食店としての注意点

労働局としては、各助成金の要件を満たしていることはもちろんですが、それ以前に、会社として、労働関係法令をしっかり守っているかについても確認されます。

特に厳しく見られるのは、未払い残業代です。
申請の際には必ず対象者の出勤簿、賃金台帳を添付します。出勤簿を見れば残業代は計算できるので、未払いがあるかは一目瞭然です。
固定残業制だから大丈夫!と思っている会社も多いですが、固定残業制でも、固定残業代に相当する時間分を超えたものは、支払いの必要があります。

また、上記のように残業代の計算をしていると、実は時給が最低賃金を下回っていることも多く見受けられます。

この様な場合にも、助成金の支給が受けられません。
必ず、是正してから申請する必要があります。申請後発覚した場合には、是正をしない限り支給されません。

近年の助成金申請は、より一層の法令順守が求められています
もちろん、故意に違反することは許されませんが、実は違反していたなどということも多くあります。

その際は、助成金の申請を機に、綺麗に清算してしまうことをおススメします。

弁護士・社労士が行う助成金獲得支援

当社でも、助成金の獲得についてのサポートを行っております。助成金の申請についてに面倒な作業は、全て当社で行います
助成金申請が受けられるように、必要な手続きは、全て当社が行うことができます。
しかも、弁護士と社労士が、サポートを行いますので、怪しい助成金コンサルタントに任せるよりも、安心です。
返済不要、使い道自由の助成金に、興味がある飲食店様は、是非、お問い合わせフォームから、お申込みください。

//inshoku-bengoshi.com/contact/

まとめ

助成金は、要件を満たせば誰にでも支給されるものですが、助成金を貰うことにこだわりすぎて、組織体制を変えるなど、本来の仕事に影響が出てしまってはもともこもありません。

また、手元にお金が来るまでにかなりの時間を要すことが多くあります。

そのため、助成金の申請には、しっかりと計画を立て、無理のない様な取り組みを心がけましょう。


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