新型コロナウイルスの影響で、飲食店が大変な状況になっています。
その中で、ECサイトなどで販売を始めているところもあり、好調なようです。
そこで、飲食店がECサイト(通信販売)を始めるにあたってどんな法律上の規制を受けるのかを解説していきます。
飲食店の中には、商品を売る手段として通信販売を取り入れている店舗もあります。通信販売は、特定商取引法で規定されています。
なお、電話勧誘によるものは、別途、電話勧誘販売という形態として規制されています。
このように通信販売には独特のトラブルがあるため、特定商取引法によってさまざまな規制が定められています。たとえば、誇大広告等にあたる行為は禁止されています。
誇大広告等にあたる行為とは、著しく事実と異なる表示をすること、あるいは、実際よりも著しく優良もしくは有利であると誤認される表示をすることです。
違反した事業者は業務停止命令などの行政処分や罰則の対象になります。
その他、通信販売事業者は、経済産業省令(特定商取引に関する法律施行規則)による規制も受けることになっています。
通信販売では、消費者は広告を見ることで商品を購入するかどうかを判断します。そこで、特定商取引法は、事業者が通信販売を行う際の広告について、一定の事項を表示することを義務付けています。
いわゆる「特定商取引法に基づく表示」というものです。インターネットを利用した通信販売の場合は、この内容を表示するための独立したページを作成することが多いです。
消費者は、それらの表示を見て、取引の内容を判断することになります。なお、複数の商品を取り扱う場合、「特定商取引法に基づく表示」に記載する商品名や代金については、「販売価格の詳細は各商品ページに記載しています」などと記載すればよいことになっています。
なお、必要的記載事項の中には返品制度に関する事項があります。返品というとクーリング・オフを思い浮かべがちですが、通信販売にはクーリング・オフは認められていません。
そのため、通信販売にはクーリング・オフとは別の返品制度が導入されています。この制度は、通信販売で購入した商品の到着後、8日以内であれば、商品購入者の負担で返品できることを認める制度です。
ただし、通信販売をする際の広告に、あらかじめ「返品できない」旨を記載している場合には、事業者は消費者からの返品に応じる必要がありません。返品を認めるかどうかは、事業者しだいということになります。
この点がクーリング・オフとの大きな違いといえるでしょう。したがって、消費者としては、購入する前に、ホームページやカタログに返品の可否について書かれているかどうかを確認する事が大切になります。
まず、販売価格については、消費者が実際に支払うべき実売価格を記載しなければなりません。
また、消費税の支払いが必要な取引の場合は、消費税込の価格を記載する必要があります。消費者に正確な支払い金額を伝えるため、曖昧な表記をしないように注意しましょう。
また、消費者側が送料を負担する場合は、販売価格とは別に送料を明記する必要があります。
送料の表示を忘れると、「送料は販売価格に含まれる」と推定され、結果として送料を請求できなくなるおそれがあります。送料は、顧客が負担すべき金額を具体的に記載するようにしましょう。
代金の支払時期については、前払い、後払い、商品の引渡しと同時(代金引換)などいくつかのパターンがあります。
たとえば、後払いでは、「商品到着後、1週間以内に同封した振込用紙で代金をお支払い下さい」などと記載することが必要です。
一方、代金引換の場合は、「商品到着時に、運送会社の係員に代金をお支払い下さい」などと記載するようにしましょう。
商品の引渡し時期については、注文のあった商品が消費者のもとに届くまでにどの程度の期間がかかるかを明確に表示する必要があります。
また、商品の発送時期(または到着時期)も明確に表示するようにしましょう。
なお、契約不適合責任に関する特約がある場合は、その内容を記載する必要があります。
ただし、事業者の瑕疵担保責任をすべて免除する旨の特約は、消費者契約法により無効となりますので注意しましょう。