飲食店のキャンセル料について法律的ポイントを解説

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飲食店の法律問題

飲食店を悩ませるキャンセル対策

最近では、ネット上で予約の受付を行っている飲食店も少なくありません。消費者としては、空き状況をいつでも確認することができる上、電話を掛ける手間も省けるため、非常に便利なツールです。

しかし、ネットによる申込みは、気軽に行えることの裏返しとして、直前になってキャンセルされてしまいやすいというデメリットもあります。

飲食店側としては、せっかく席を確保したり、コース料理等に使用するための材料を仕入れたのにもかかわらず、直前になってキャンセルをされてしまうと、大きな損害を受けることになってしまいます。

キャンセル料の性質

そこで、こうした事態を極力避けるため、一定期間より後の予約のキャンセルや人数変更については、キャンセル料を取るという飲食店も多くなっています。

消費者側が予約申込みをして、飲食店側がそれを承諾した時点で、一定の契約が成立していることになりますので、契約を破棄したことに対する違約金を払ってもらうという意味合いがあります。

キャンセル料を設定しておけば、あらかじめ来店の可能性が低い予約を排除することに繋がります。また、消費者側に、一度予約をした後に安易にキャンセルを行わないようにする抑止力を生じさせることもできます。

ただし、キャンセルがあった場合に、実際にキャンセル料を請求するかどうかは別問題です。あらかじめ一定の金額を前払いしてもらっている場合はともかくとして、ネットや電話上のやり取りだけの相手にキャンセル料を請求することは難しいのが現状です。

また、常連の客などで連絡先がわかる場合であっても、キャンセル料を請求することによって、せっかく築いた信頼関係を壊すことも避けるべきです。キャンセル料を請求する際は、慎重な判断が必要になります。

キャンセル料の金額をめぐるトラブルと対策

飲食店側が消費者側に対してキャンセル料を請求することを決断した場合、飲食店側は、請求するキャンセル料の金額を確定しなければなりません。

キャンセル料の金額は、通常、「予約日の2日前まではコース代金の0%、前日まではコース代金の20%、当日はコース代金の50%」というように、直前になるにつれて高額になるような設定にしていることが一般的です。

飲食店側は、予約を受ける際に、いつから、どれぐらいの金額のキャンセル料が発生することになるのか、しっかりと消費者側に説明をしておくことで、トラブルの発生を未然に防止することができます。

ただし、たとえ契約の上でキャンセル料を設定していた場合であっても、飲食店側に損害が発生していない場合には、その設定通りの請求は認められない場合もあるので注意が必要です。

たとえば、まだ数か月以上も先のパーティの予約について、既にキャンセル料が発生する期間であるとして、高額なキャンセル料を請求しても、請求額の全額を取るのは難しいといえるでしょう。

なお、直前になって予約人数が減ってしまうような場合もあります。こうした場合は、事実上、予約の一部がキャンセルされたということになりますので、飲食店側は、減った人数分のキャンセル料を請求できる可能性があります。


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