弊所では、飲食店からの事件を数多く請け負っていますが、その中で多いのが、従業員がお店の売り上げを着服しているという案件。
最初は、金額が少なく気づかなかったのですが、だんだんと積み重なってきて、気づいたときには、結構な金額になっている…なんてことも少なくありません。
そんなとき、飲食店としては、どのようにしたら、良いのでしょうか。
店舗のお金を従業員が着服する行為は、もちろん、違法行為です。
よって、店側としても、盗まれたお金は、返してもらいたいというのが、まず求めることだと思います。
法律的には、従業員の行為は、不法行為に当たるので、損害賠償請求をすることができます。
しかし、その手段をどうするのかが問題です。
当然、裁判ということもできますが、裁判は、費用がかかります。
また、仮に裁判で勝っても、従業員側にお金がないと、回収できないというデメリットがあります。
方法としては、弁護士などから内容証明を送り、損賠賠償をする旨を伝える。
そして、相手方と交渉して、返済方法を交渉するという方法があります。
この方法も、相手方から返答がない、相手方が返金拒否されてしまうと効果がないのですが、次の刑事告訴と併せて行うと効果があることがことがあります。
お店のお金を着服する行為は、刑法上の業務上横領罪という立派な犯罪行為です。
よって、警察署にいって、刑事告訴するということが考えられます。
この刑事告訴をしても、最終的に、従業員が逮捕され、有罪になることはあっても、盗んだお金が返ってくるわけではありません。
しかし、この刑事告訴をすると、刑事事件になるため、従業員側も、身の危険を感じます。
そうなると、返金して示談し、告訴を取り下げてもらいたいとの思いから、返金する又は返金の交渉に応じるということも多いのです。
刑事告訴をする場合には、告訴状を作成して、警察署に行きましょう。
そして、従業員からお金を盗まれたことを証明する証拠もつけておきます。
警察も多数の事件を扱っています。警察官からみて、どういう事件なのか、どういう証拠が揃っているのかを分かりやすく伝える努力が必要なのです。
飲食店側としては、横領行為をした従業員は、解雇したいですよね。
従業員の解雇できるか、そして解雇の方法ですが、まず就業規則に懲戒事由として規定されているかをチェックします。
懲戒事由として規定があれば、基本的に即時解雇ができ、予告手当も必要ありません。
詳細な規定がない、もしくは、就業規則がないのであれば、法定の普通解雇となります。
普通解雇となると、解雇予告して30日後か解雇予告手当を支払ったら解雇となります。
それでも、即時解雇したいのであれば、労基署に事前もしくは事後に解雇予告除外認定を受ける必要があります。
横領程の事由なら、比較的に認められやすいです。
就業規則作成のポイントは、こちら
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従業員の着服等で重要なのが、証拠を集めることです。
証拠隠滅を防ぐために、従業員に対して、出勤停止命令をまず出したり、面談をして、調書を取る(本人の署名捺印付き)などがよいとされています。
その他、証拠となりえるものは、念のため保全しておいたほうがよいです。(メール、振込み履歴、その他)
そのため、まずは
(1)事実確認のため、面談をし、事実であれば調書の作成
↓
(2)調査、処分の検討のため、出勤停止命令
といった流れでをとるようにしましょう。