飲食店を経営していると、日々、色々な問題にぶつかります。
そこで、飲食店を経営するにあたっては、法律を遵守するには当然です。
飲食店を経営するにあたって、どのような法律を遵守すべきなのか、飲食店の法律に詳しい弁護士が解説します!
飲食店経営者が最初に知っておくべき法律は、食品衛生法です。
飲食店を始めるにあたっても、まずは、食品衛生法に基づいて保健所に届出をし、営業許可を得る必要があります。
飲食店の営業許可については、以下のような流れになります。
また、食中毒が発生した場合にも、食品衛生法に基づいて行政指導などが行われます。
食中毒の際に、しっかりとした対応をしないと、営業停止などに追い込まれる可能性があります。
営業停止までいかなくても、飲食店の名称・会社名、内容等が公表される可能性がありますので、法律を熟知し、十分注意するようにしましょう。
深夜営業などを行う飲食店は、風営法等に基づいて「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をする必要があります。
風営法といっても、法律自体は、基本的な理念などしか定めていません。
よって、風営法を理解するためには、「風営法施行規則」、「風営法解釈運用基準」を見る必要があります。
「風営法解釈運用基準」については、実際上の判断するべきガイドラインが定められており、非常に参考になります。
風営法を参照するときは、法律だけでなく、「風営法施行規則」、「風営法解釈運用基準」をみてみましょう。
労働基準法とは、従業員の就労にまつわる一切を定めた法律です。
正社員だけでなく、アルバイトを使う場合でも、この法律は、関わってきます。
近年、飲食店の従業員から、未払残業代の請求やパワハラなどで、飲食店が訴えられるケースが多発しています。
飲食店経営者は、労働基準法については、熟知しておく必要があります。
労災保険法は、いわゆる「労災」について、定めた法律です。「労災」とは、飲食店のスタッフなどが通勤途中、業務中に、ケガをした、また病気などにかかったなどの事情が生じた場合、そのスタッフ対し所定の保険給付を行う法律です。
飲食店としては、どのような場合が、「業務中」といえるかなどをしっかりと、把握しておく必要があります。
雇用保険法は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者に一定の給付が行われることを規定した法律です。
飲食店経営者にとって、注意が必要なのが、アルバイトやパートへの雇用保険の加入です。
実は、アルバイトやパートについても、雇用保険の加入義務があるのです。
雇用保険の加入対象のアルバイトやパートとしては、以下の2つの要件を満たすものです。
(1)31日以上の雇用見込みがある方
(2)1週間の所定労働時間が20時間以上である方
上記2つの要件に該当する場合には、例えパート・アルバイトであったとしても雇用保険に加入する必要があるのです。
ただし、正社員と同じように1週間の労働時間が40時間あるような者でも、以下の5点に該当する者は雇用保険に加入する必要がありません。
(1)法人の役員
(2)事業主と同居している親族
(3)昼間学生
(4)4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される方
(5)日雇い労働者
雇用保険を支払いたくない事業者は、1週間の労働時間が20時間未満のパート・アルバイトでシフトを組むようにしたり、パート・アルバイトを学生中心にしていくとことが考えられます。
パートタイム労働法とは、アルバイトやパートなど、正社員ではなく、パートタイマーのための法律です。
この法律は、2015年に改正法が施行され、飲食店経営者などには、以下のような義務が課されました。
・雇用時に待遇(時給など)を決定するにあたり、考慮した事項について説明することを義務づけ
・短時間労働者からの苦情を含めた相談に応じ、適正に対応するための「相談窓口」を設置
⇒この窓口は、相談部署(組織)でも、相談担当者(個人)でもよいとされています。
そして、その相談窓口を周知するために、雇入れ時に文書等の交付により明示しなければならない事項に追加されました